形成外科
科の概要
形成外科は、様々な原因で生じた体の表面の変形や醜状を、手術を主体とした治療法で治す診療科です。更に、手術の傷跡も含め治療の跡が残らないよう細心の注意を図ります。特に顔面の外傷や熱傷は、初期治療の良し悪しで、目立つ傷跡が残ってしまうか否かが決まってしまいます。後日の形成手術でも改善は期待できますが、早期の社会復帰のためにも専門医による初期治療が望まれます。当科では単純な皮膚、皮下腫瘍摘出術に際しても、日常生活への支障が最小限となるよう配慮します。又、緊急を要する場合の対応として、24時間オンコール体制をとっています。
当科で取り扱う分野
新鮮熱傷、顔面外傷、皮膚、皮下腫瘍摘出術(顔面等)、下腿潰瘍、褥瘡、アンチエイジング治療、ケロイド治療、腋臭症、耳介・乳房・腹壁の形成手術、眼瞼形成(眼瞼下垂、眼瞼皮膚弛緩、睫毛内反)、巻き爪、陥入爪
特色ある治療
・原発性重度腋窩多汗症(健康保険適応)
・眉間の皺(自費)
色素レーザー(Vビーム)
・色素レーザーを用いた乳児血管腫、単純性血管腫、毛細血管拡張症の治療(保険適用)
色素レーザーは主に血管をターゲットにします。血液中のヘモグロビンに反応する光を当てて熱変性させて二次的に血管を塞ぐというのが原理です。よってレーザーの対象とする疾患は赤あざといわれる「毛細血管奇形(単純性血管腫)」、赤ちゃんにみられる「乳児血管腫(いちご状血管腫)」、赤ら顔の原因となる「毛細血管拡張症」、そのほかには老人性血管腫、瘢痕やケロイドなど多岐にわたります。
毛細血管奇形はポートワイン母斑ともいわれ、生まれつきのものが多く、基本的には消えません。成長するにつれ色調が濃くなったり皮膚が厚ぼったくなったりします。なるべく早いうちからレーザー治療を開始したほうが色の改善が良いというデータがあり、生後早期からの治療でも構いません。
乳児血管腫は生後数日から1か月くらいから目立ち始め、徐々に盛り上がっていきます。個人差はありますが、1歳ころから自然に縮小し、消退します。生後の大きくなる時期に治療を開始したほうが増大を抑え、早期の縮小を招くとされています。ただ皮下の下で大きくなるタイプや増大スピードが速い場合等は内服治療のほうが有効な場合があります。当院で導入しているVbeam2は、厚生労働省によって承認された器械であり、レーザー照射直前に皮膚に冷却ガスを噴射する装置を内蔵し皮膚への熱損傷を最低限に抑えながら血管をつぶすことができます。
治療例(Vビーム2)
手術件数
症例 | 2020年 | 2021年 | 2022年度 |
---|---|---|---|
皮膚、皮下腫瘍摘出術 | 34 | 41 | 36 |
眼瞼下垂症手術 | 7 | 4 | 22 |
皮膚潰瘍・組織欠損閉鎖術 | 0 | 0 | 11 |
陥入爪手術 | 6 | 3 | 0 |
デブリードマン(褥瘡) | 0 | 17 | 0 |
顔面外傷 | 90 | 66 | 54 |
耳介形成術 | 5 | 0 | 0 |
副耳(介)切除術 | 0 | 5 | 9 |
顔面神経麻痺再建 | 0 | 0 | 4 |
切開・ドレナージ | 26 | 0 | 0 |
その他 | 3 | 4 | 4 |
レーザー治療 | 56 | 32 | 101 |
所属医師紹介
高橋 博和(たかはし ひろかず)
役 職 | 主任医長 悠遊健康村病院副院長 |
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専門分野 | 新鮮熱傷・顔面外傷・皮膚、皮下腫瘍摘出術(顔面等)・下腿潰瘍・褥瘡・ アンチエイジング治療・ケロイドの治療・腋臭症・耳介・乳房・腹壁の形成手術 |
資 格 | 日本形成外科学会形成外科専門医 |
卒業大学 | 新潟大学(S55年卒) |
曽束 洋平(そつか ようへい)
役 職 | 非常勤 |
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専門分野 | 顔面外科、眼形成、再建外科 |
資 格 | 日本形成外科学会形成外科専門医 日本がん治療認定機構がん治療認定医 日本頭蓋顎顔面外科学会専門医 日本形成外科学会レーザー分野指導医 日本形成外科学会皮膚腫瘍外科指導専門医 日本形成外科学会再建・マイクロサージャリー分野指導医 日本顔面神経学会認定顔面神経麻痺相談医 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医 医学博士 |
卒業大学 | 大阪大学(H16年卒) |