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5.手術の麻酔について

  • 手術の麻酔について

鼠径部ヘルニア修復術の麻酔方法には、大きく分けて、3通りあります。
1. 局所麻酔
2. 腰椎麻酔、硬膜外麻酔
3. 全身麻酔

1. 局所麻酔
鼠径部に直接、局所麻酔薬を注射しながら手術を行います。当院では、鼠径部の領域の神経ブロック注射を併用しています。
局所麻酔法の最大の利点は、非常に簡便な麻酔で、全身麻酔や脊椎麻酔などに比べて、心臓や腎臓などの重要な臓器への負担が少なく、合併疾患を持つ高齢の方でも安全に手術を行うことができることです。
手術中、患者さんには意識があり、お腹に力を入れることができるので、腹圧をかけてもらいヘルニアの状態や、修復術後の状態を確認しながら手術を行うことができる点も重要です。麻酔の影響が少ないので、日帰り手術にも最適な麻酔と言えます。
欠点としては、手術室での話し声や手術器具の音がバッチリ聞こえてしまうため、患者さんが不安になってしまう場合があること、手術中に痛みではなく、なんとなく圧迫されたような感じ、引っ張られるような感じがわかることがあること、途中で尿意をもよおし我慢できなくなってしまう場合があること、通常手術時間は1時間ほどですが、腰や肩が痛くなってしまうことがあること、などです。あまりにも不快な場合は、鎮静薬を併用することがあります。

局所麻酔による手術では、術前の食事制限はありません。ただ、あまりに多く召し上がって手術に望むと、緊張のため、吐き気を催すことがありますので、直前の食事は少なめにしていただいております。
手術室に入ってから、手術のための点滴を行います。手術を行っている間の、万が一の緊急時に対処するためです。手術が安全に終われば、点滴は手術室で抜きます。手術室から出る場合は、歩行でも可能ですが、車椅子を使用していただきます。トイレには、すぐにいけます。術後、一時間ほどで、水分摂取、食事摂取が可能です。

2. 腰椎麻酔、硬膜外麻酔
腰椎麻酔は、おそらく、鼠径ヘルニア修復術に対し、最も多く行われてきた麻酔法です。しかし、術中の血圧低下、術後の頭痛、吐き気、排尿障害、下肢のしびれ、硬膜外血腫などが起こることがあり、当院では鼠径部ヘルニア修復術では、行っていません。硬膜外麻酔は、局所麻酔薬と併用される場合があります。

3. 全身麻酔
全身麻酔は、専門の麻酔科の先生が行います。最も安全な麻酔方法です。患者さんにとっての一番のメリットは、何といっても寝ているうちに手術が終わってしまうという点です。通常は、気管内に管を入れ、手術の間は、人工呼吸器で呼吸管理を行います。鼠径ヘルニア修復術は、短時間で終わる手術なので、ラリンゲルマスクという喉頭を覆うマスクのような器具を用いて呼吸管理を行うこともあります。これだと術後に気道の違和感、喉がゴロゴロする感じなどが少ないとされています。

当院では、両側例や特殊な場合を除き、全身麻酔でも、尿道カテーテルは使用しません。

全身麻酔の場合は、前日夕食まで、食事が可能です。手術当日は、手術の2時間前まで、飲水ができます。スポーツドリンクや、水、お茶などは飲めますが、乳製品や果汁入りのジュースなどは控えていただいています。手術が終わり、病室に戻ったら、1.5~2時間ほど、ベッドで安静にしていただきます。その後、トイレ歩行、水分摂取をして、問題なくできるようであれば、食事が摂れます。食事ができれば、点滴は抜きます。