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(2).腹壁瘢痕ヘルニアの原因

  • 腹壁瘢痕ヘルニアの原因

腹壁瘢痕ヘルニアの原因は、手術の種類や傷の閉じ方、患者の体質、術後のケアなどさまざまな要因が絡んでいます。
以下に、腹壁瘢痕ヘルニアの原因について述べます。

1. 手術そのものが原因となる場合
a)手術部位の弱化
・開腹手術(とくに正中切開):大きな切開では、傷が広くなるため、縫合部の筋膜や皮膚の回復が遅く、瘢痕が弱くなりやすい。
・切開部位:正中切開より、横切開のほうがヘルニアになりにくい
・緊急手術:緊急手術では、創部感染のリスクが高く、ヘルニアが発生しやすい。
b)手術技術
・縫合の方法:腹壁を閉じる際の縫合の技術、使用する糸、縫合方法、創部の緊張などが、ヘルニアの発生に関与します。

2. 患者の全身状態
a)肥満:肥満は、腹壁瘢痕ヘルニアの最も重要なリスク要因の一つです。内臓脂肪型肥満、皮下脂肪型肥満ともにヘルニアの発生リスクが高まります。
b)高齢:高齢者は、組織の修復力が低下していることがあり、ヘルニア発生のリスクが高まります。
c)慢性疾患:糖尿病、慢性肝疾患、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、心疾患などの慢性疾患をお持ちの方では、ヘルニアの発生リスクが高まります。
特に糖尿病患者は、感染リスクも高く、瘢痕が弱くなりやすいとされています。
d)喫煙:喫煙は、血流を悪化させ、創傷治癒を遅らせ、ヘルニアが発生しやすくなります。
禁煙は、ヘルニアの予防において非常に重要です。
e)栄養不良:栄養状態が悪いと、組織の回復が遅れ、瘢痕の強度が十分に高まらないことがあります。

3. 術後の要因
術後の腹圧上昇:慢性的な咳、便秘や排尿困難、術後早期の過度な運動など、術後の腹圧の上昇が、ヘルニア発症のリスクとなる場合があります。
術後感染:皮膚や筋膜などの手術創部の感染、腹腔内膿瘍など、術後の感染性の合併症は、ヘルニアの発症リスクを高めます。

4. 遺伝的要因
遺伝的に、結合組織の代謝異常のある場合、瘢痕形成にも影響を与えることがあります。正常な結合組織が十分に形成されず、ヘルニアが発生しやすくなることが知られています。